禁煙外来
喫煙の怖さ
喫煙習慣は全身にわたる癌の発生率を大幅に増やすだけではなく、心筋梗塞・狭心症・脳梗塞といった動脈硬化に伴う疾患、肺気腫などの呼吸器疾患を引き起こす原因となります。
実際、35歳の男性が喫煙を続けると、寿命が10年短くなることが研究にて分かっています(Doll, R.et al. BMJ 2004;328:1519)。
各種癌が数倍に増えることはもちろん、狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患は、喫煙することで男性は2.85倍、女性は3.07倍にリスクが高まることが分かっています(Baba, S. et al : Eur J Cardiovasc Prev Rehabil. 13(2) : 207, 2006)。
もちろん喫煙の影響はご自身の身体だけではなく、周囲にいる方、大事なご家族の健康へも受動喫煙という形で悪影響を及ぼします。
悪いと分かっていながら喫煙を続けてしまう、なかなか禁煙出来ない。以前はそれはご自身の心の弱さと考えられていた時期もありましたが、現在では喫煙習慣の本質は“ニコチン依存症”であることが明らかになり、治療が必要な病気であることが認識されています。
禁煙はもちろん早めに行うに越したことはありませんが、何歳からお止めになっても必ず良いことがあります。
実際、心臓病である冠動脈イベントによる死亡リスクは禁煙とともに経時的に低下し、4~6年後には非喫煙者と同じレベルにまで低下したというデータもあります(Dobson, A. J. et al ; J Clin Epidemiol. 44 ; 1247, 1991)。
つまり長年吸ってしまったので今更、ではなく何歳からでも禁煙を行う意義はある!、ということです。
禁煙外来
2006年4月から喫煙を単なる「習慣」ではなく依存症と診断し、「病気」と捉え、一定の条件を満たせば保険診療で治療が可能となりました。また、2016年からは35歳未満の方に対しては、喫煙本数や喫煙年数によらず保険適用となりました。
当院では禁煙学会認定禁煙サポーターである医師が、土曜日も日曜日も禁煙補助薬や生活指導を駆使して禁煙のお手伝いをします。禁煙したいけれど何度も自力での禁煙に失敗してしまった方や、自分ひとりではなかなか止められないという方を全力でサポートしたいと思います。
費用について
自己負担が3割の方は、使用する薬にもよりますが、薬3か月のスケジュールで13,000円~20,000円ほどになります。タバコを一日一箱吸う方の場合、禁煙外来と同じ期間(8~12週間)のタバコ代は24,000円~36,000円程度です。今後タバコ代は更に値上げされる可能性もありますし、今後タバコを止められるとしたら経済的効果はかなり高いかと思います。
禁煙外来のスケジュール
初回
- ⑴ニコチン依存症のチェック(TDS)
- ⑵呼気中の一酸化炭素濃度の測定検査
- ⑶禁煙開始日を決定し、自身で禁煙宣言にサイン
- ⑷医師によるカウンセリング(禁煙に対するアドバイスや治療薬の副作用等の説明)
- ⑸その方に合った禁煙補助薬(チャンピックス、ニコチネルTTS等)を処方
2~4回目
- ⑴呼気中の一酸化炭素濃度の測定検査
- ⑵医師によるカウンセリング(喫煙状況の確認、イライラなどへの対処法のアドバイス)
- ⑶禁煙補助薬の処方
5回目(最終回)
- ⑴呼気中の一酸化炭素濃度の測定検査
- ⑵医師によるカウンセリング(禁煙維持のためのアドバイス等)
*保険で認められている通院回数は、初診を含めて計5回、期間は約3か月間です。