不整脈

不整脈とは

心臓は一日に約10万回、一定のリズムで収縮と拡張を繰り返しています。
“不整脈”とは、その名の通り、この心臓の規則的なリズムが不規則になったり、本来のリズムとは異なるタイミングで心臓が収縮したりすることを指します。
どなたにでも軽い脈の乱れは存在し、ほとんどの場合は心配ありませんが、なかにいくつか注意を要する不整脈もあります。治療すべき不整脈を判別し、適切な治療方法を提案することも循環器内科の重要な仕事です。

不整脈の症状

  • 動悸(ドキドキ)を感じることがある
  • 急に脈が速くなったり、遅くなったりする
  • 脈がとぶ感じがする
  • 心臓の鼓動を強く感じる
  • めまい、立ちくらみ、意識が遠のく感じがする
  • 階段や坂道で息切れや動悸を感じるようになった

自覚症状がなくても不整脈が存在することもあります。
健診で不整脈を指摘された際には放置せず一度専門医にご相談ください。
☆循環器医は患者さんの診察の際に心拍の異常がないかいつも確かめております。

不整脈の検査

心電図検査のイメージ図

必ず行うのは心電図検査です。
ただし、不整脈のなかには出たり引っ込んだりしているものもあり、通常の短い時間の心電図のみでは診断に至れないこともあります。
その場合に有用なのが、ホルター心電図(Holter心電図)になります。小型の携帯型心電計を一日装着して頂き、24時間の脈を集めることで不整脈がいつ・どのように起きているのかを診断します。当院で使用しているホルター心電図は入浴も可能なタイプですので、入浴時に生じる危険な不整脈(ヒートショック)の診断にも有用です。通常、ホルター心電図検査は、着ける・外す・解析と説明、で3日間来院をしないといけません。しかし、当院では外した日に院内で医師が直接解析をしますので、その場で説明が可能です。2日間の来院で結果が出ますので、診断もスピーディかと存じます。
ホルター心電図で治療を考慮すべき不整脈と診断された場合は、基礎疾患を調べるために心エコー血液検査などを併せて行うこともあります。

不整脈の種類

① 洞性不整脈、洞性頻脈、洞性徐脈

“洞性”とついているものは、ほとんどが問題のないものです。
心臓の中の電気刺激の始まりは洞結節といわれる、いわゆる“ペースメーカー”から発せられます。ペースメーカーの速度は人によって個性があり、速めの人・遅めの人様々です。また、緊張や呼吸、アルコールやカフェイン、体温その他によって速度が変動することもあります。
このような、病的ではないですが少しだけ正常から外れた脈の状態につく病名(所見名)が、“洞性”とつく不整脈です。 ただし、“洞性”のものでも極端に速いもしくは遅い脈の場合には、心臓疾患や甲状腺の異常などが潜んでいる場合もありますので、精密検査が必要となります。

② 期外収縮

心室性期外収縮の心電図

“期外収縮”とは、読んで字の如く期(タイミング)が外れて心臓が収縮する不整脈のことです。心臓の中の電気刺激が本来の場所とは違う場所から出ることで、心臓の“しゃっくり”のようなものと考えます。
大まかに、心臓の上の部屋(心房)から出る上室期外収縮と、心臓の下の部屋(心室)から出る心室期外収縮に分けられます。通常の心電図(健診など)で、一画面中に2発以上この期外収縮がみられると、“頻発性”期外収縮として精密検査にまわる場合が多いかと存じます。
症状を感じない方がほとんどですが、脈が一瞬つまずく感じや抜ける感じ、軽い胸の痛みや不快感を感じる方もいます。
ホルター心電図を行い、期外収縮の数・出方・形・症状との関係、などを調べます。ほとんどは無治療での経過観察で問題ありませんが、数の多い方や出方によっては心臓の基礎疾患を調べたうえで治療が必要となる場合もあります。また、元々心臓の病気をお持ちの方(陳旧性心筋梗塞心臓弁膜症、心筋症など)は、持病の悪化につながる場合もあり注意が必要です。

③ 心房細動

脈の間隔がばらばらの心電図

心房(心臓の上の部屋)のあちこちから速く不規則な異常信号がでることで生じる疾患で、心拍が不整となり、心拍数が大きく変動します。動悸や脈の乱れを自覚することもありますが、全く無症状で健診や診察の際に指摘されることもあります。
すぐに命に関わることは少ないですが、速い心房細動が続くことで心不全を発症することや、心房の中に血栓(血液の塊)が生じて脳梗塞の原因となることもあるため注意が必要です。
心房細動は加齢とともに増えることが知られており、70歳以上の5%、80歳以上の10%に心房細動が起こるとの報告もあります。高齢者だけでなく心臓弁膜症、心不全、心筋症といった心疾患や、高血圧睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能亢進症、脱水症、アルコール多飲、過度の緊張などでも生じることがあります。
心房細動の治療は大きく分けて薬による療法と手術による治療があります。

薬の治療は3つの目的で行われ、①リズムコントロール(心房細動を普通の脈に戻し維持する)、②レートコントロール(脈の速度を薬で調節し心臓への負担を減らす、自覚症状を抑える)、③抗凝固療法(心房細動で生じる心原性脳梗塞の予防のため、心臓内に血栓が出来ることを予防する)を組み合わせて治療します。特に③の抗凝固療法は、近年DOAC(直接経口抗凝固薬)と呼ばれる新薬の使用がひろがってきており、以前よく使用されていたワーファリンに比べると制約が少ないメリットがあります。ただ、抗凝固療法には出血の副作用が付きまとうため、慎重に適応を考えることも必要です。循環器医はその患者さんが脳梗塞を起こし易いかどうかをその方の基礎疾患(心不全、脳梗塞、年齢、高血圧、糖尿病など)から判断し、また転倒による外傷の危険度がないかなども含めて総合的に判断しております。
手術による治療は、電気的除細動、ペースメーカー治療、カテーテル手術(アブレーション治療)、外科手術があります。近年では、カテーテルによるアブレーション治療が増えてきており、正常の脈に戻ることで薬の治療をやめることが出来る方もいらっしゃいます。成功率も70~80%(施設により違いあり)と高いですが、長く心房細動が続いて心房が大きくなってしまった方や弁膜症に併発した方などには成功率が下がり、また再発も多くなります。個々の患者さんの状態を見極めて、治療法を選択することが大切と考えます。

④ 徐脈性不整脈

ペースメーカー植え込み後のレントゲン画像

正常の心拍数は1分間に60~80回ですが、1分間に50回以下に心拍数が遅くなっている状態を“徐脈”と呼びます。 前述した洞性徐脈は多くは無害ですが、洞不全症候群といわれる一時的に洞結節(ペースメーカー)からの信号が出なくなるものは程度によっては治療が必要です。多くは加齢または虚血性心疾患によって生じるため、狭心症などの基礎疾患の精査が必要と同時に、脈の停止が長いものは失神・突然死の原因となるため、ペースメーカー植え込み治療が必要となります。
また房室ブロックも徐脈の原因となります。程度によって、I度、II度、III度房室ブロックに分けられます。I度のものはほぼ無害であり経過観察で問題ないことが多いですが、II度の中のリスクが高いものおよびIII度の房室ブロックは、心不全・失神・突然死などにつながる危険があり原因を精査したうえでペースメーカー植え込み治療が必要となります。

⑤ WPW(Wolff-Parkinson-White)症候群

WPW症候群とは、生まれつき心臓のなかに正常な電気回路以外の副伝導路(ケント束)と呼ばれる回路が存在しているものをいいます。副伝導路があっても特に異常のない方もいますが、この余計な回路に電気が流れてしまうと不整脈が生じます。
症状は頻拍発作とよばれる、突然脈拍が速くなり、しばらく続いた後に突然止まるというものが起きます。頻拍により血圧が下がると、めまい・ふらつき・失神などの症状がでることもあります。また頻拍が長時間続くと、心臓の機能が低下して心不全を起こすこともあります。
WPW症候群の診断は心電図検査で行います。典型的なWPW症候群では心電図に副伝導路の存在を示す特徴的な所見がみられますが、時々所見が現れるタイプや副伝導路が隠れているタイプもあります。
WPW症候群と診断されても、症状がなかったり、頻拍がごく短時間であったりする場合は必ずしも治療が必要とはなりません。発作が頻回であったり、長時間続いたりする場合にはカテーテル手術(アブレーション治療)が適応となります。副伝導路(ケント束)がある場所はだいたい決まっているため、アブレーション治療の成績も良好です。

⑥ ブルガダ(Brugada)症候群

ブルガダ症候群とは、心臓の構造や機能は全く正常であるにも関わらず、まれに心室細動とよばれる致死性不整脈をきたし失神・突然死の原因となる疾患です。日本人をはじめとするアジア人、比較的若い男性、家族内にブルガダ症候群がいる方に多いとされています。健診などでの心電図検査で指摘されることも多く、不整脈が出なければ無症状です。1型(coved型)および2型(saddle-back型)に分けられ、1型が不整脈のリスクが高いと考えられています。1型が診断された方で、失神の経験者、夜間に苦悶様の呼吸を指摘されたことがある方、血縁者に突然死された方(特に45歳未満)がいる場合、血縁者にもブルガダ症候群の方がいる場合、には専門的な精査が必要とされます。危険性が高いと判断された患者さんには、薬物負荷心電図や電気生理学的検査(EPS)などの精査を行い、最終的には植え込み型除細動器(ICD)の植え込み手術が行われます。
近年、J波症候群と呼ばれる、心電図で早期再分極という所見が認められる一群にブルガダ症候群も含まれるのではないか、という報告があります。こういった疾患は無症状な方がほとんどのなかで、最初の症状が突然死といった可能性もあり、今後一層の原因および治療法の研究が進むことを期待してやみません。

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院 長
小内 靖之(日本循環器学会循環器専門医/医学博士)
診療内容
一般内科、循環器内科、糖尿病内科、生活習慣病、睡眠時無呼吸症候群、禁煙外来、予防接種、健康診断
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